5トンのじゃがいもと、都会の暮らしを忘れた私

雨の出荷日。
じゃがいもとコーヒー豆の小包便を作って、お客様にご案内してみた。


すると返ってきた言葉は、
「量が多いよ〜」だった。
あぁーーーー!!
そうやった!! すっかり忘れてた!!
と、その瞬間に思い出した。
今の私の目の前には、5トンのじゃがいもがある。
5トン。
数字にするとよく分からないけれど、とにかく大量である。
農家になった今、そのじゃがいたちを保管するための広い倉庫があり、軽トラがあり、畑があり、
気がつけば私の感覚はすっかり田舎仕様になっていた。


でも、昔の私は違った。
ワンルーム。
5坪くらい。
そこに家財道具一式と猫たち。
猫と額をくっつけながら暮らしていた。
コンパクトで、身軽で、必要なものだけに囲まれた生活。
スーパーなんて歩いてすぐ。
足りなければ買いに行けばいい。
保存場所だって限られている。


そんな暮らしをしていたのに、
気がつけば私は
「じゃがいも5キロくらい余裕やろ?」
みたいな顔をしていたのである。
余裕ちゃうやん(笑)
置く場所ないやん(笑)
インテリア損ねるやん(笑)
完全に感覚がバグっていた。


正直に言うと、
5トンのじゃがいもを前にして、
「売らなあかん!」というプレッシャーもあった。
だから私は、お客様が欲しいものではなく、
私が売りたいものを見ていたのかもしれない。


ケンモホロロに断られて、
ちょっぴり落ち込んだ。
でも、そのおかげで大切なことを思い出した。


農家の都合ではなく、お客様の暮らしを想像すること。
どんなキッチンで、
どんな冷蔵庫で、
どんな毎日を過ごしているのか。
何人家族なのか。
どれくらいの量なら嬉しいのか。


そこをちゃんと考えること。
野菜を作ることも大事だけれど、
その先にいる人の暮らしを想像することも同じくらい大事なんだなぁと思った。


だから、これからは
「食べきれる量」
「贈りやすい量」
「届いて嬉しい量」
も考えながらお届けしていこうと思います。


Cats田中農園のじゃがいもは、有機栽培で大切に育てたもの。
そして猫町珈琲研究所のコーヒーは、心を整えながら丁寧に焙煎したもの。
どちらも、日々の暮らしの中で
「ちょっと幸せだな」
と思える時間のお手伝いができたら嬉しいです。
5トンのじゃがいもを前に右往左往している農家ですが(笑)
そんな失敗も含めて、皆さんと一緒に育っていけたらと思っています。


さて。
小さなサイズの小包便も作ろうかな。

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